ABE48のその後―スターアニメーター発掘企画合格者の今―

昔々といっても5年前のこと。こんな熱い企画(下記)がありました。

明日のスターアニメーターは君だッッ! 夢のアニメーターオーディション企画
今回、アニメーター業界のさらなる奮起を願い、アニメーター発掘プロジェクトとしてその名も【ABE_48】(AhoBoyEntertainment_48)を企画いたしました。未来のスターアニメーターを目指す方々は奮ってご応募ください。


募集要項 
原画志望の動画マン、絵に自信があってアニメーターを目指したい人、あるいはなる機会を逃してしまった方が対象です。まだ原画を描いた事がない方、あるいはそのキャリアが無いに等しい方に限らせていただきます。出身は問いません。高校生、専門学校生、大学生、会社員、動画マン、無職、ニートでも誰でもOKです。(外国の方でも可です。ただし最低限日本語でコミュニケーションがとれる方)

http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1205293513/



この企画の合格者は、語り継がれる作画回となった絶対可憐チルドレン第37話「強敵来襲! ブラック・ファントム」(2008年12月)の、原画参加を許されることになったのですが、本稿は5年経ってこのABE48メンバーがどうなったかの適当な追跡・検証記事です。


さて、ABE48にはどのようなレベルのアニメーター志望者が集まったのでしょうか?
実のところ、公式の募集ページは既に閉鎖となってしまい魚拓に残った情報しかありません(ぶっちゃけ十分ですが)。
その魚拓がこちら(問題があったら即削除します)
ここでは合格者6人とその作品が見ることが出来ます。総評にあるように気合いの入った作品、動きの勢いがあり、やりたいことがはっきりしているという作品群で、個人的にも日本人アニメーターの層は厚いのだなぁと感心した覚えがあります。


ということで、ここからはその後の合格者6人を追跡。スターアニメーター発掘企画は5年後の時点でどのような評価を下せるのでしょうか


合格者たち(敬称略。並び順に特に意味はありません)


小嶋慶祐
いわゆるデスランがプロの道へ歩み出したのがこの企画でした。16,17歳の時(2007年)にニコニコに投稿されたエアーマンが倒せない OPアニメ風の作者と言えば分かる人は分かるのかもしれません。2010年ごろ、HP削除、pixiv退会等消息を絶ったように見えた時期もありましたが、作画@wikiによると、現在マッドハウス在籍、織田信奈の野望で初の作画監督等、なかなかの経歴を辿っているかと思います。専スレで弄っていた作スレのお兄ちゃんたちもいなくなりました。


片峰哲也
この方の情報はここまでしかわかりませんでした。1963年生まれ、つまり40代半ばで、しかもこの課題動画制作は大学時代の自主制作いらい20年ぶり、おまけに本職はサラリーマン(http://fukaz55.main.jp/zettai/bbs/anime/20090104_150420.htmより)とのことです。出身を問わない企画らしい合格者であり、在野にも人材はいるのだなぁという証でもありました。


犬マル(細川智悟
自主制作「ダッポンダーV」の作者と言えばこれまた分かる人は分かるかもしれない作者(昔はニコニコにもあったのですが消えました)。この動画目にして以降、割と追っかけていたのですが、ABE48に見事合格。その後は自主制作動画の制作だけでなくダンボール戦機など徐々に名前を見るようになって嬉しい限りです(咲を見たきっかけが犬マル氏のHPだっただけに止まっており残念ですが)。


toy
この方については全く不明。正確に言えば頑張れば特定できると思うのですがやっていません。情報持っている方いれば教えてください。


吉邉尚希
ジョジョ二部OPディレクターと言えば、それだけで飛躍ぶりがわかるというもの(http://cgworld.jp/feature/making/jojo-anime-2.html)。神風動画所属ということで今後の主戦場は深夜アニメ以外のゲーム・音楽PV・CM等となる可能性もありますが、野心的な会社の中で揉まれていくことで(あるいは引っ張っていくことで)さらなる活躍が期待できそうです。


砂川貴哉
咲の原画担当したようです。とはいえ、作スレのあるレスによるとむろみさんのキーアニメーター・作画監督(2話、7話。1話は小嶋慶祐)である砂川貴哉さんは別人らしく?これも情報求ムです(http://matomeru2ch.com/log/2ch-asaloon/1369117946/%E4%BD%9C%E7%94%BB%E3%82%92%E8%AA%9E%E3%82%8B%E3%82%B9%E3%83%AC3184.htmlより。作オタでないので判定とかできないです。個人的には別人とは思えませんが。Toheart2で動画担当している砂川貴哉さんが応募し合格、ミルキィの原画なども担当し、むろみさんで作画監督まで行ったのかと勝手に類推します)




総括
仰々しい題名の割には、6名中2名についてその後が分からない、1名は同姓同名の別人がいる可能性があるという結果となりましたが、ともかく、スターアニメーター発掘企画は、絶チル以降も少なくとも6名中4名が別作品で原画を担当、5年後の時点で作画監督、OPディレクター等を生み出しているなど、比較対象はありませんが、人材発掘としては成功したといってよいと思います。


さて、次にこのような検証記事を書くとしたら、リトルウィッチアカデミア等を生み出したアニメミライ事業の成否なのかもしれませんが、それはお役所に任せることにしましょう。今回の記事は、2008年に池畠博史を中心に民間から起こった若手育成事業の成功を伝える記事でした。もっとも、2回目が行われなったのは前述のアニメミライ事業によるものなのかそうでないのか検証する必要があるでしょう。